コイパーク総合メニューに戻る

コイパーク流 錦鯉の形質(質)の説明・解説



錦鯉の形質(質)とは


このホームページによく登場する言葉でありながら、ほとんど触れてなかった、”形質(質)”について考えます。
まだまだ、初心者のわたしが”形質(質)”について述べること自体、恥ずかしいですが、自分なりに感じてきたことを書かせてもらいます。あくまで、個人の見解で、もっと違う多くの意見もあるとは思います。合わない部分は読み飛ばしてください。

”形質(質)”とは、鯉が”生まれ持った形質(質)”のことです。、”生まれ持った形質(質)”ですので後で変えることは出来ません。人間と同じように、大きくなる鯉もいれば、小さいままの鯉もいます。ひょろ長い体型もあれば、どかっと横太りの体型もいます。形質(質)は、すべて親からの受け継いだ遺伝情報の発現によるものです。たとえ同じ時期に生まれた兄弟鯉でも1匹として同じ鯉はいません。小さい形質(質)の鯉に、どんどん餌をやっても、大きくなる形質(質)の鯉にはあっという間に抜かれていってしまいます。


わたしの考える”理想の形質(質)”とは、
錦鯉が80cm以上になった時点で、
最高の美しさを持つことが出来る生まれ持った力”です。
大きければいい訳ではありません。



※ 実物としては簡単な解説の12番、大正三色80cm弱を参照してください。私が上記のような鯉と思っているものです。

理想をかなえてくれる可能性のある親鯉さんたちです。
ほとんど80cmクラスというか、それ以上〜。

親鯉は最高の形質(質)をもっています。

ただ、どうしても子孫を残すためにエネルギーを消費するため、傷んでしまうことが多いです。それでも、目の前で見れば立派〜と感じる存在感を発揮していますね。輝きがあります。

緋が飛んで、ほとんど無地のような紅白でもです。


具体的には、自然でありながら尾筒まで太く立派な体型(潜水艦のような感じ)、色ではなく明るく粘りのある緋質、テリ(魚体の輝き)、やんわりと透き通る白地、墨質、サシ、キワの鋭さ、などが際立った錦鯉が”形質(質)”が良いといえるでしょう。”形質(質)”がよければよいほど体形よく大きく育てられ、長い期間をかけて美しさが出てくる鯉だと考えるとわかりやすいと思います。私にとって特に体型とテリは最重要な”形質(質)”です。大きくても腹ボテ鯉は良い鯉だとは認識していません。

重要な点ですが、わたしの考える”形質(質)”には、”模様”は含みません。
なぜなら、”形質(質)”がわるくても最高の模様(人気の模様)は出るからです。
そもそも模様は個人の好みです。

錦鯉はピーク(もっとも美しく観賞できるとき)は一生に一度しかありません。
15cmで美しい鯉が、どんどん成長していって80cm以上になって最高の美しさになることはありません。鯉の成長は拡大コピーではありません。15cmがピークの錦鯉は、成長させないで飼育するのが一番その鯉を長く楽しめます。それを大きくするとどうなるかといえば、緋がとんだり、体型が崩れたり、と残念ながら良い結果は望めません。

鯉には生まれ持った最適な大きさと、飼育者側にはそれに合わせて、50cmには50cm、80cmには80cmの飼育の仕方があるわけですよね。鯉は逆算ですので、自分が最終的に何センチで最高に仕上げたいかによって、購入鯉と飼育方法をきめないといけないわけです。そうでなければ、自分の思いの鯉にはなりません。私は10年かけて美しさを増していくような鯉が好きです。ゆっくり自然としあがった鯉は長持ちしますから〜。

”形質(質)”的にいえば、15cmでピークになるよりも80cm以上でピークになる錦鯉のほうが生まれたときから絶対に上です。当歳は小さいので見分けにくいですが、体型(骨格)とテリは絶対に違います。鯉の持つ明るさが違います。

何度も述べていますが、 ”形質(質)”とは、鯉が”生まれ持った遺伝情報”ですので、その年、生産された鯉(秋揚がりの当歳)は、同じ品種内ではもうすでに順位が決まっています。それを一番よく知っているのは、毎日その鯉たちと接してきた生産者さんです。中には多量に生産しては出荷する体制を取っていて把握できないところもあるかもしれませんけど〜。

”形質(質)”が上位の鯉は来年度用の立て鯉(見込みのある鯉として野池にいれて大きくする鯉、明け2歳立てといいます。)として残し、普通は当歳では販売しません。特にわかりやすい品種、たとえば紅白の取りこぼしなどは99%ありません。その年育てて生産者さんの予想よりよくなる場合もありますが、予想よりよくなっただけのことで、それ以上の鯉が残してあって存在しています。それを取りこぼしと勘違いする場合もありますが、取りこぼしでなく、あくまで思った以上によくなっただけのことです。購入する側としてはうれしい誤算ですけどね



水槽で飼育している環境で20cm前後の鯉を飼っている人は、”最高の形質(質)の鯉”を手にいれられないのか?と言う話になります。結論としては”ほぼ手に入らない”が真実でしょう。理由は、通常は最高質の鯉を当歳では販売しないからです。個人的に親しい間柄ではこの限りで無いかも知れませんけど〜。明け2才立てとして野池から上がってきたときには大きくて(約50cm〜)もう水槽には入りません。

しかしながら”あえてそのような鯉を手に入れる必要が無い”ともいえます。

ここが錦鯉の良いところで奥深いところなのですが、20cmがピークの錦鯉は”形質(質)”的には80cmにピークになるであろう錦鯉よりも劣ります。しかし、2匹の錦鯉を同じ20cmに育ったときで比べたら、20cmがピークの鯉の方が”美しい鯉”に見えます。模様とは関係ありません。赤く緋の上がった緋盤、真っ白な肌という具合です。このとき80cmの”形質(質)”を持った鯉は、まだまだ成長過程のごく初期になるものですから、緋に厚みがあるため緋の色が上がらない、白く抜けきれない肌、というようになんともパッとしません。よくよく見れば肌に透明感がありますし、体型(骨格)とかもしっかりしてますし、テリもあったりしますが、全体のバランスとしては今一の印象でしょう。

通常、水槽のみで飼育するのであれば、20cm前後でピークがくるような鯉を購入したほうが、水槽内に花が咲いたように華やかになり楽しめるとおもっています。でもこの辺りは、個人の考え方の範疇です。


ある時点での鯉の美しさ"と"質の良さ"は一体ではありません。



話は変わりますが、”形質(質)”の勉強 には、鯉やさん(特に生産者)に良い鯉を見せてもらって自分のと比べることです。”形質(質)”の勉強に販売マスの値段はあまり当てにはなりません。販売価格には模様の値段(人気の模様は高い)も加算されているので、模様がよければ”形質(質)”が少々悪くても高い販売マスに魚はいます。現状の”錦鯉の値段は、質2割+模様8割で決まる”と思っても良いでしょう。あとは、鯉やさんによってどちらに比重を置くかです。私は”形質(質)”を鑑賞するタイプですので、”形質(質)”を優先する鯉屋さんがすきですけどね。(一般に小売店は模様、生産者は質に比重を置くことが多いです。)

ですので、まずよく分からないときは(自分も含めて)、鯉やさんに”質の良い鯉を選んでください”と頼みます。ちゃんとした鯉やさん(特に生産者)であれば(手持ちの予算は聞かれるかもしっれませんけど、、、)、プライドがあるので予算内で”質の良い鯉”を選んでくれます。仲のよい鯉やさんであれば、トップの鯉を見せてくれるかもしれません。その積み重ねが目を養うことでしょう。私も必ずオススメ鯉がどれなのかを聞きます。予算があれば自分の好きな鯉とオススメ鯉を両方買ってその後の成長を比べるとなおいいでしょう〜。



経験をつむまでは錦鯉の評価は相対評価であって絶対評価では判断できません。必ず他の錦鯉と比べて、どこがどのように良いのかを見るわけです。同じレベルの鯉を何匹見ようと飼育しようと得られるものはそのレベルまでです。良い鯉を見て、あるいは育ててみて、今までとは、この鯉は違うと感じたらそれがステップアップにつながっていきます。相対的なものである以上、良いものを見るのがもっとも確実な勉強です。この場合の良い鯉とは、品評会の優勝鯉という意味ではありません。現実問題として、品評会の基準には模様も要素に入ってくるので、質の勉強には不向き(惑わされる)だと考えています。

模様など話題にもならないような、躍動感あふれる究極に美しい鯉を見てみたいものです。

”形質(質)を知ること”と”錦鯉の飼育年数” は別物だと考えています。
(ただ飼育しているだけでは、質は一生判らないということです。)

鯉の鑑賞の仕方にはいろいろあるわけですが、模様を鑑賞する人、形質(質)を鑑賞する人、あるわけですが、形質(質)を鑑賞する人のほうが、形質(質)を知ることは早いだろうな〜と普通に考えても思います。


私の考える最高の形質(質)は、一番最初に書きましたが

具体的には、
○ 体形がよいこと

○ テリがあること(魚体の輝き)。
○ 透明感のある肌であること(小さいときは特に)。
○ 緋に厚みのあること(赤いという意味ではありません)。
等々、でしょうか?

私は”形質(質)”を鑑賞するタイプですので、こういう点を重視して楽しんでします。それを土台としてそのときそのときで気に入った模様があればそれで十分ですね。ですので、鯉に少々2番緋が出たり、黒星が出たりしても、”形質(質)”の鑑賞に問題がなければ苦になりません。”形質(質)”を鑑賞するというのは鯉を長く楽しめることではないだろうかと思っています。

コイパーク総合メニューに戻る